「幸福はどこにある──Le Voyage d’ Hector」と「島人ぬ宝」
フランスの精神科医が幸福について記し、映画化もされた、評判の高い本がある。
『幸福はどこにある──Le Voyage d’ Hector』
リンク先の書評をお読みいただければわかるように、私はこの本に他の方たちとは違い低く評価した。
この本よりも私は、BEGINの「島人ぬ宝」や「人間が好き」、「森の猟人ピグミー」に幸せの教訓が含まれていると感じる。
漁師とビジネスマンの話で言えば、漁師として生きることのできる世界がビジネスマンによって破壊されたとき人は不幸にならざるを得ず、ビジネスマンを作っているのは、世界システムの中枢にいる人々なのだということになる。
まだまだ自給自足的な要素が強く残っていた私の子ども時代と、田舎の生活もすっかり変わってしまった今と、そのときどきの私自身の価値観の変化(良質な報道があると信じ、民主主義や市民社会を信じ、バイオテクノロジーやビルゲイツを追った若者の時期を私も過ごしたのだ)を踏まえたとき、「島人ぬ宝」が伝える穏やかでありながら揺るがないメッセージに私は共感します。