子どもたちは基地を作る
小学生の頃、基地づくりをして遊んだ。
松の木の地上3メートルほどのところで幹が枝分かれしていたのを利用して、兄弟でツリーハウスを作って遊んでいた。
もちろん、たいしたものではなく、3人がしゃがんで入っていられる程度の小さな空間を枝や板で少し囲んだ程度のものだった。特に何をするわけでもないが、近所の悪ガキ連中を敵に見立てて、来るはずもない敵を監視するまねごとをしていた。
この基地はとても気に入っていたのだが、大人に見つかって壊されてしまい、怒られた。
そのあとは、林の中の少し空間のある部分に、道からは見えないようにして基地を作ってみたけれど、木の上の基地ほどは熱中できずにすぐに放棄してしまった。
わざわざ基地を作らなくても、倒された松の木は、即席の基地になった。
枝の張り具合によって、いくつかの部屋にわかれた基地を想定して、遊んでいたものだ。
今、ピグミーやブッシュマンが作る家を見ていると、その頃私たちが作っていたものは、基地ではなく、そうした家の原型のようなものだったことがわかる。
チンパンジーやゴリラが作る巣を少しだけ立派にしたような家。
基地は本当は家だった。
子どもの遊びと自然:『貝げらのめがね』