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時事ネタに絡めて、視点を多角化多角化する本を紹介します。
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葛西りまさんはなぜ自殺してしまったのか。浪岡中学校のイジメの真実に迫る。

被写体に自殺の生徒、写真最高賞が一転取り消し/Web東奥・ニュース

8月の黒石よされ写真コンテストで、主催した青森県の黒石よされ実行委員会が、最高賞の黒石市長賞を内定した後、一転して取り消したことが16日、分かった。内定後、作品に写った津軽手踊りを舞う少女は自殺した浪岡中学校2年の女子生徒=青森市=と分かり、内部から「波風を立てない方がいい」など異論が出て、再協議したという。

  • 2016年10月17日(月)

 事情のよくわからないこのニュース、両親が少女の実名と写真を公開し、いじめを苦にした自殺であること、いじめをなくしたいと願っていることが報じられた。

black-news.jp 

 思い出すのは、まだ私が陰謀論を知らなかった頃に読んだ『人間を幸福にしない日本というシステム』である。校内暴力に荒れる中、マスコミがいつの間にか文部省を擁護し、親のほうをやんわりたしなめる形に世論を作りあげて、問題をうやむやにしてしまったと書いてあった。今となってみれば、それは的外れもよい議論であって、本質は別のところにあると言える。

 

いじめは、「日本特有の現象」ではない
いじめについて議論になると、「日本人は陰湿だから」とか「昔はこうでなかった」といった議論が横行します。しかし、こうした議論は事実にそぐわない上、解決に結びつかない無駄な時間を費やすものであるため、無視したほうがいいでしょう。
 
例えば『世界のいじめ 各国の現状と取組み』(森田洋司監修、金子書房、1998)には、オーストラリア、ニュージーランド、マレーシア、アメリカ、カナダ、スウェーデンノルウェーフィンランドデンマークポーランド、ベルギー、オランダ、ドイツ、フランス、スイス、アイルランドスコットランドイングランドウェールズ、スペイン、ポルトガル、イタリア、中近東・アフリカ・ラテンアメリカ諸国と、それぞれの国・地域のいじめ事情や対策などがまとめられています。
 
それらのデータを見る限り、日本だけが突出していじめが多い、ということは言えません。同調性やら学力重視やら消費社会やらゲーム感覚やらといった、「日本国内のなんとなくの風潮」といじめを絡めて論じる議論を講じる人は、だいたいにおいて海外でもいじめが頻発している事実を知りません。
統計データ - ストップいじめ!ナビ

校内暴力になるのか、いじめになるのか、銃乱射になるのかはわかりませんが、人類史を振り返ってみると、今のように同世代の子どもたちを閉じこめて一方的に教え込むというシステムができたのはつい最近のことです。それがいじめの根本原因になっていると考えるべきなのではないかと私は考えます。

 

そもそも、私たちは定住に適さない生物だから定住を続けていることさえ苦痛なのに、逃げ場のない場所に、遊ぶことが仕事のはずの子どもたちを閉じこめておいて問題が起きないはずがない。そんな風に私には思えます。